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歌伴はピアニシモが勝負!

今回はちょっとマニアックなピアノの演奏法の話。

興味ない人はスルーしてね。



トラックダウンをしていると思うのが、伴奏とソロの音量の差。

歌が主役の音楽であるならば、ベースなど一部例外はあるが、伴奏するほとんどの楽器の音量は歌に比べて驚く程小さい。

ソロは歌に負けない存在感が必要なので、伴奏と比べてもの凄く音量を上げる。

電気系の楽器のミュージシャンはそこをわきまえて、伴奏とソロの音量をボリュームのつまみの数値で決めているようだ。

しかし生音系のミュージシャンは、ピアノならタッチの強弱、弦楽器ならボーイングの強さや早さなど、フィジカルでコントロールしなければいけない。

アマチュアのミュージシャンによく見かけるが、歌より自分の演奏に気持が行き過ぎて、伴奏なのに自分が主役のように演奏してしまう。

これがレコーディングならば、エンジニアのセンスである程度は調整できるが、ライブだとそういう訳にはいかない。

やっぱり、フィジカルで音量を表現する楽器は、フォルテシモに上限があるので、ピアニシモに拘って音量のダイナミクスを広げることが、抑揚表現の幅になってくる。



ピアノは音量のダイナミクスが非常に大きい。

僕の経験上、ヴォーカルが小さい声で表現したい部分、例えばバラードのAメロなどは、ピアニシモで演奏して調度良いくらいだ。

だが、粒が揃ってクリアな響きでピアニシモを演奏するのは難しい。

指の長さも違うし、それぞれの指のパワーも違うし。

またピアノの音が出るには、鍵盤を押してハンマーが弦を叩くまでは1cm程度は押し込まなければいけない。

なので、フォルテなら強さとスピードで誤魔化せるが、ピアニシモだとそのタイムラグを考慮して演奏しなければならず、キレのいいリズムを感じさせるにはかなりの修練が必要だ。



天才というか鬼才というべき巨匠のピアニストにグレン・グールドという人がいた。

もう鬼籍に入られている方だが、ごく若い頃を除きコンサートをせずにレコーディングのみで演奏を発表していた。

コンサートで、特にオーケストラをバックに弾くピアノ協奏曲などは、ピアニシモで弾くよりもフォルテシモを引き続ける場面も多い。

また高揚する気持で情熱的な演奏になる反面、演奏に繊細さが欠けて、ピアニシモがピアノに、ピアノがメゾピアノになってしまうかもしれない。




グレン・グールドは極端に低い椅子でピアノを弾く。

日本人は体格が小さく筋肉量が少ないので、高めの椅子に座って体重を指に乗せてフォルテシモを出すピアニストが多い。

しかし、その分ピアニシモにも体重が乗ってしまい、小音量時に繊細さの欠けるピアニストもいたりする。

グレン・グールドはピアニシモに拘りがあり、フォルテシモを犠牲する奏法をしていた。

それが、低い椅子で体重を指に乗せないスタイルだ。

それでも彼は、背が高く筋肉質な体形だったので、フォルテシモもしっかり表現できていた。



凡人が彼の様なスタイルで弾くのは苦労がいる。

彼のスタイルでフォルテシモを出す場合は強い背筋力が必要で、僕くらいの体格(身長173cm)だとかなり筋トレをしていないと難しい。

それでも、美しいピアニシモを追求することは、巡り巡って自分を助けることになると思う。

それは、誰かを主役にすることで自分が生きるという道だからだ。

僕はアレンジャーなので、ピアニストのようにもの凄いテクニックはないが、アレンジ力と美しいピアニシモを武器に、演奏の仕事もこれからも続けて行きたいと、強く思う。



晩酌は龜出し紹興酒と今は黒糖焼酎の朝日。


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